リレーチャットライブノベル
7/12 (土)
午後10時開始
参加者(敬称略)
* 綾音さま/rosette
* みの字さま/Strangely JoJo's
* きみお/らくがき
花京院生存、4部辺りの承花という前提で、3人の書き手が、
その場で順番に書き進めてゆきます。何もかも成り行き次第。一寸先は闇。
参加者3人の阿鼻叫喚を、眺めて楽しんでいただけたらと思いつつ。
リレーチャットライブは終了致しました。
現在ログ公開中
*また、話の内容は多分にR指定を含む内容になります。
ご注意くださいませ。
- prologue
- 月がとても丸かったあの夜。 だからきっと狂わされたに違いないと、そう思えるようなあの一夜。 人の海は呼吸が出来ないほどのうねりを持って、ちいさな箱の中で たゆたう。 たまたまこんな時に、車は車検に出たまま、週末までは帰ってこない。 仕事の時間が合う事のあまり無い承太郎からの着信に気が付いたのは、オフィスを出て数歩歩いた瞬間だった。 たった2回の着信履歴を見た途端、花京院は思わず通話ボタンを押し、 受話器を耳に当てていた。 それが一時間前の事。 普段乗りなれない満員電車に、承太郎はなんて似つかわしくないの だろうか。 頭ひとつ、飛び出た彼の姿は良い意味でも悪い意味でも目立って いる。じろじろ見られる事にあからさまに不快感をあらわにした承太郎を、肩をぽんと叩くだけで嗜められる花京院の 穏やかさはとても好ましい 空気となって承太郎の周りを中和する。 揺れる電車の窓から見える月は、欠ける隙のない満月。 幸いにも入り口近くに場所を移すことが出来たものの 、この急行電車は 自分達が降りる駅まで停車する事は無く、ただただあとの15分をひたすら 耐えるしかない。 時折揺れる人の波からさりげなく花京院を庇ってくれる承太郎の 横顔は、同じ月を見たまま動かなかった。 頭の後ろに感じられる、逞しい胸板は静かに上下して 、花京院の髪の毛 を撫でていく。 じっとりとした高温多湿の車内で、背中に感じる体温だけがどうしてか やけに生々しく感じられてしまい、花京院は思わず俯いて妙な思考に なりそうな自分を恥じた。 (…未熟だな、僕も) 自嘲的に片隅で考え、思考を排除しようと窓の外を見る。 ガラス越しに見える街灯の軌跡を数えようかと思ったその瞬間 、 大きく電車が揺れて体勢を崩した彼の身体はいとも容易く承太郎の腕に 受け止められた。 「大丈夫か」 耳元で囁くように語り掛ける、承太郎の海の香りの香水が彼の体臭と 混じり嗅覚を刺激して流れ落ちる。 刹那、高鳴る鼓動。 答えられない、俯いたままの花京院を心配して、承太郎はまたすこし その身体を寄せた。 (…そんなに近寄らないでくれ、頼むから) ぐるぐる巡る思考にぼんやりして、油断した花京院の脳内を駆け巡る 解り易い欲望。 どうしようか、幼い頃のように解らなくなって、思わず彼は承太郎の方 に振り返ってしまう。 「…承太郎」 見上げた緑の瞳は、きらきら揺れてまた、彼の鍵を揺さぶった。 |
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